活動報告

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「内面を拡張、構築していく垂直開発が必要」マイドフルネスを広める 吉田典生さんインタビュー

21世紀学び研究所の理事を務め、創設メンバーでディレクターを務めるマインドフルリーダーシップ・インスティテュート(MiLI)でマンドフルネスを生かした組織開発と人材開発を行う吉田典生さんに、OS21に通ずるご自身のお考えやビジョンについてインタビューを行いました。

—吉田さんご自身の現在の活動について教えて下さい。
自分の会社であるドリームコーチ・ドットコムではエグゼクティブコーチングや組織開発、また3年前に創設したMiLIでは特にマンドフルネスを生かしたプログラムづくりと企業への導入を主として行なっています。左脳的なアプローチと右脳的なアプローチを組み合わせていくのが好きで、マインドフルリーダーシップと、その実践のためのエグゼクティブ・コーチングが中心軸ですね。マインドフルネスとOS21は、リーダーシップの基盤をつくるベースメソッドとして非常に親和性が高いと考えています。

—現在の活動を始めた理由を教えて下さい。
自分のキャリアをシフトしようと考えたタイミングで、グローバルな基準でコーチングを学ぶ事ができる機会に出会いました。そのことがきっかけで、組織開発支援というキャリアに足を踏み入れました。元々は出版業界育ちでジャーナリストをしており、テーマとしては人材開発や組織開発で成功している会社やその経営者を取材し、ビジネス誌や専門誌などに多くの連載をしていました。1,000人以上の経営者に話を聞くうちに、彼らから学び、興味を持ったことを、人に伝えるだけでなく自分でもやっていきたいと思い始めました。そのタイミングでキャリアシフトを考えて、リーダーシップや心理学、コーチングなどを学び直しました。

—吉田さんの活動を通して描く未来のビジョンを教えて下さい。
今は文明の転換期だと認識しているので、何かを自分が達成するというよりは、次の世代がより良い世界を創造していくための“中継ぎピッチャー”でありたいと思っています。よくお盆休みや、正月明けの丸の内や銀座の出勤風景が新聞やテレビに出てきますよね。会社に向かう人たちの疲れた眠そうな表情とか。「あーあ、また仕事がはじまってしまった・・・」みたいな。そういうのが、次の文明では根本的に変わることを願っています。月曜日の朝をワクワクしながら迎えるのが当たり前になっている世界。そういう観点からも、生き方や働き方の問い直しが始まっているのではないかと思うし、またそれを続けていきたいです。

現代の人の暮らしは「分断」が顕著に起きていると思います。社会に出て働くことと自分がよく生きることを繋げようとすると、せめぎ合いや矛盾ばかりでバランスを取るのが難しいからです。ライフスタイルや家族の在り方、住む場所、様々なものをボーダレスにすることで肩の力を抜いて喜びを感じることができるし、多様な人々の可能性が解放されるのではないでしょうか。

ただ単に勤務時間を短くして、生産性を上げながら残業をなくそうというのも、分断的な思考といえるかもしれません。またテレビや雑誌で特集される「なりたい職業ランキング」なんていうのも関係なく、自分が本当に自分らしく生きるための職業は自分で作ればいい。だだいたい面白いことをしている人って、「どんな人」と一言で説明できない人ばかりですよ。より多くの人が、もっと自由に自分の可能性を探求できる社会にしていくための基盤作り、そのつなぎ役になりたいですね。

—なぜ、自分が自分らしく生きる未来が大切だと考えますか。そこには吉田さんが大切にしている価値観や信念があると思います。そこを教えて下さい。
自分の根底にある生き物としての感覚を大切にしたいと思っています。突き詰めれば皮膚感覚的なものですが、今の社会システムや雇用スタイルなど、当たり前のことに違和感を覚えることは一つの能力として大切にするべきだと思います。

我々は生き物なのであって、理屈だけでは説明できない根源的な部分に目を向け、動物的な判断をすることも大切にしていくべきではないでしょうか。合理的な判断が分断を加速させる世界は、新しく生まれたり変化する価値観との関係性を許さないのです。自分のアイデアや感情、価値観などこみ上げてくるものにふたをして、安全に生きようとすることにも危険が潜んでいるのでは。

物事を分類し、言語化して再定義することは変化する時代の中で必要だと思います。しかし、再定義するという行為は気持ちいいのですがかえって分断を強めてしまうことがあります。なるべく盲点を少なくして、無知の知として捉え直すことで学び合い、真に推進力を生む事ができるような謙虚さも大切にしたいです。

—ご自身の活動を進めるにあたって、どのような困難がありましたか。
既存の仕事に対して「引き算」をすることは難しかったです。自分のキャリアをシフトしたいと思った時に、新しいことを始めると収入が減るということへの覚悟をしなくてはなりませんでした。そのため前職での収入や案件を手放す、あるいは減らすというリスクに踏み切るという決断がなかなかできませんでした。物理的にだけではなく、お世話になった人との関係性を断つことも必要ではありますが精神的に辛かったですね。しかし自分が新しい事に向かって前のめりに一歩踏み出すとき、ブレーキと引き算は大切です。

私の場合は、前職で得た経験の中でも自分のやりたいことを具体的に思い続けていました。様々な人の話を聞き、人に伝えていく中で自らも会社や組織改革の必要性や課題を考え続けていましたが、それは間接的なものでした。変化していく組織や組織パフォーマンスに従って直接課題を解決する立場になりたいと考え自分を置き換えたときに、コーチングを自分の特性として活かす事でその分野の先頭を走れると思ったのです。自分のオリジナリティを自分がやりたい事と結びつけて考えることで、自分の良さをあらゆるものに活かすための要素が見えてきます。インタビューはコーチングとも似ているのですが、人の良さを引き出したり応用していくお手伝いをすることを通して多様な一人一人が輝く、という想いは私自身の力になりましたし、今も基盤となっています。

—現代の人材開発や人材育成に関してどうお考えですか。
企業に関しては、現場での経験を通した学びと実務を離れた学びを、いかに融合していくかが課題だと思っています。私たちプログラムを提供する側も、トレーニングやコーチングという「点」を打って、それを皆さんが仕事の現場で「線」にしていくお手伝いをしたいです。学習と実務を融合していく仕掛けを、いつも考えています。

また経営戦略から社員教育を発想していくことも、ますます大切になってくると考えます。さいきんはCLO(chief learning officer)という概念も出てきました。経営者自身がその役割を担うか、経営者と同等の立場で議論できるCLOに登場してきてほしいですね。
学校教育については、ほんとうに問題が多すぎますね。プライベートスクールよりも公共教育の根本を変えていく必要性の方が高いはずなのに、変化が表出するのに時間がかかるため、選挙でも話題にならず後回しにされがちです。しかし子供の教育にお金がかかりすぎるのは、喫緊の課題だと思います。

望ましい変化を起こす鍵は行政とのコラボかプロボノ等市民の力なのかわかりませんが、私自身も関わっていきたいです。小さい変化を草の根的に広げていくことで、全体の仕組みの基盤になってくる部分に影響が出てくると思います。すでに強い志をもって行動を起こしている人も沢山いるので、私は組織運営やリーダーシップの実践支援といったかたちで応援しています。

—企業や組織の育成者やリーダー、親はどのような課題を持っていると感じていますか。
短期的な問題と中長期的な問題、また背に腹は変えられないような事とどのように折り合いをつけていくかだと思っています。例えば、大きい企業と小さい企業では、共に仕事の質とスピードに関して求められる事が多くありますが、両者にはバランスの差があります。量か質のどちらかに偏らせる事は出来ないので、どのようにクライアントとの関係性を築き、質とスピードのバランスをとるかが重要になってきます。また、リーダーであれば、ビジョナリーにメッセージされていることがある一方で、現実の目の前にあること、今言っている事ややっている事に矛盾を感じやすいということがあるのではないでしょうか。そこでチームのコンセンサスをとる工夫をして一貫性を持たせていく事が信頼感を継続させるために大事であると思っています。

— OS21に共感してくださった理由は何ですか。
なにより、自分がやりたいこととOS21のビジョンが一致していることがあります。マイドフルリーダーシップという文脈で考えると、マイドフルネスをどう人材育成と組織づくりにつなげるかを模索しており、OS21との組み合わせがとてもよいと思っています。また、自分のキャリアの中でやってきた要素と重なりがあるので、自分のできる事や興味関心を活かせると思うんです。様々な知識を導入する横の能力開発ではなく、垂直開発、バーティカルデベロップメントと言われるように自分を深掘りして、内面を拡張・構築していく重要性を感じています。マインドフルネスもOS21も人の基盤となる土台であり、そこを広げていく、というのが私の現時点でのミッションです。

21世紀学び研究所理事 吉田 典生(よしだ てんせい)
組織変革コーチ、有限会社ドリームコーチ・ドットコム 代表取締役
関西大学社会学部卒。ビジネス誌の編集記者として延べ1000名の経営者を取材。2000年により現職。企業経営者・幹部のリーダーシップ開発と実践支援を目的としたエグゼクティブコーチングに従事。タレントマネジメントの世界的リーディングプロバイダーであるプロファイルズ社(米国一部上場ワイリーグループ)の戦略ビジネスパートナー、一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート理事、ビジネスブレークスルー大学大学院オープンカレッジ講師。著書に『心に静寂をつくる練習』(WAVE出版)、10万部超のベストセラー『なぜ、「できる人」は「できる人」を育てられないのか?』(日本実業出版社)など。

有限会社ドリームコーチ・ドットコム
一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート

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