活動報告

ACTIVITY REPORT
実績 実績

実施レポート vol.2『N/S高 生徒会向けワークショップ』

概要

  • 対象 N/S高の生徒会役員の生徒さん
  • 実施日【DAY1】8/27(火) 13:00~14:30(1.5H)【DAY2】9/10(木) 10:00~12:00(2H)

背景

今回は、生徒会任期の切り替えのタイミングで、任期を終了される生徒会役員向けにワークショップを実施しました。そのため、貴重な時間を生徒会活動に精一杯捧げてきた生徒さんのご経験をしっかりと棚卸し、それを今後に活かせる価値に変えたいというご要望のもと、目的を設定しました。

生徒会活動を通じて、貴重な経験をたくさんしているはずなのだが、本人が気が付いていなかったり、多くの生徒さんが進学など今後の進路・キャリアを考える上で有効活用できていないと感じていたそうです。
そんな背景を受けて、生徒さんにとって経験の棚卸ができるだけでなく、仲間との対話により自分自身の魅力や個性を言語化することで自己理解を深め、さらに、生徒会活動で得た経験を具体的な学びに変え、今後の進路に役立ててもらいたいという想いでプログラムを設計しました。
そんな目的でスタートした本ワークショップ。実施後にはこんな声をいただきました。

  • 生徒会活動を通じて得た学びが具体的になった
  • リフレクションを通して、自分の魅力や能力、得意なことや苦手なことが具体的にわかった
  • 一緒に取り組んでいた仲間が自分を認めてくれていた
  • 進路進学に生徒会活動をつなげることができた

Day1

まず、あまりなじみのない【リフレクション・メタ認知】について知識をインプットしていきます。
リフレクションとは、自己を客観的かつ批判的に振り返る行為です。物事に対して、これまで通りのやり方やモノの見方を、そのまま適応するのではなく、批判的スタンスで、経験から学び、考え行動することが可能になります。
そして、今回使っていくフレームワークは、メタ認知のメソッド「認知の4点セット」です。

「認知に4点セット」を使って、まずは、生徒さんの動機の源(やりがいを感じる理由であり、自分自身を突き動かす、大切な価値観)を言語化していきます。リストから大事だと思うキーワードを選んで、そのキーワードを意見に置き、キーワードから想起される経験、その経験に紐づく感情、そこから見えてくる価値観を書き、それぞれ記載したワークシートを3~4名のグループになってシェアしました。

そして、そのあと、DAY1のメインワーク【生徒会活動の振り返り】に移っていきます。

  • 頑張ったことは何ですか。(必須)
  • うまく出来たと思うことは何ですか。(必須)
  • 嬉しかったこと、楽しかったことは何ですか。(必須)
  • うまく出来なかったと思うことはありますか。(任意)
  • 嫌だったこと、つまらなかったことがありますか。(任意)
  • 感動したことや驚いたことはありますか。(任意)

について、思いついたものから意見を出し、miroのポストイットに記載・貼り付けていきます。そして、それぞれが書いたポストイットをグループで共有しました。

Day2

Day2は、対話に重きを置きます。一緒に生徒会活動を盛り上げた仲間の価値観や強みを、共感を伴う対話で引き出していきます。そのため、まずは【対話】について、知識をインプットしてもらいました。
対話とは、自己を内省し、評価判断を保留にして、他者に共感する聴き方と話し方。評価判断を保留にして、多様な世界に共感することで、自分の枠の外に出ることが可能になります。

次に、強みのリフレクションを行っていきます。

「認知の4点セット」を使って、まずは、DAY1でブレストした経験の中から、自分が頑張ったことを抽出して、意見に置きます。そして、経験・感情・価値観を埋めていきます。そして、

  • 頑張ったことのリフレクションで明らかになった「大切な価値観」は何ですか。
  • 頑張ったことに活かした自分の「強み」は何ですか。

の2つの質問にまずは自分自身で答えてもらいます。
そして、ここからがグループワークでの対話です。仲間の話を聞き、
「〇〇さんは、▲▲っていう価値観も大事にしていると思う」
「××も強みじゃないかな?」

と、自分では気づけない価値観や強みを言語化するお手伝いをグループの仲間がしてくれました。

そして、最後のワーク【経験から学ぶリフレクション】に移っていきます。
まずは、反省ではなくリフレクションが大事だということを理解してもらいます。
変えられない過去に対する反省と責任追求を行うのではなく、学びを未来に活かすリフレクションを行いましょう。反省が悪い訳ではありません。しかし、申し訳ないと感じたり、後悔したり、残念な気持ちになる反省には、学びに必要な心理的安全性がありません。反省の欠点は、学べないことです。
リフレクションも、反省同様に過去を振り返る行為ですが、リフレクションの目的は、学びを可視化し、次に活かすことです。経験に価値を置くリフレクションでは、経験を通して、人は必ず賢くなると考えます。経験から得た知恵を次の経験に活かすことで、アップデートし続けることができます。

そして、【経験から学ぶリフレクション】を実際にやっていきます。経験学習の問いにそれぞれ答えてもらい、グループで共有・フィードバックし合います。

問いを生徒さんの回答事例付きでご紹介します。

  • 生徒会活動の中で、最もチャレンジングだった取り組みを一つ選んでください。
    • 磁石祭 ※N/S高、N中等部合同文化祭の名称
  • なぜ、そう思うのですか。そのことを選んだ理由を教えてください。
    • 割と裏方で活動したい状況→表舞台へと出るターニングポイン
    • 参加者としての経験すらなかったビッグイベントに運営側として参加することになった
  • そのことに取り組んだ際に、最も苦労したことは何ですか。
    • 情報を追い続けること
  • 次に同じことを行うとしたら、何を変えますか。
    • タスク管理・情報整理。期限や重要度をもっと意識することができれば、行動の選択肢を増やすことができたかもしれない。他者に任せる、規模の変更 etc…
  • 初めてのことがたくさんあった

効果

このような2日間を実際受けていただいた生徒さんはどのように受け取っていただけたのでしょうか?実際の感想をいくつかピックアップしました。

☑気づき・発見(抜粋)

  • 主観的振り返りと客観的振り返りができて、とくに客観的振り返りから気づきがあった
  • 自分の価値観は自分のためでもあり他者のためにもなっているということ

☑認知の4点セットの感想(抜粋)

  • 分解することで、自身の活動について深い分析ができる
  • ポジティブなフィードバックにいきやすい
  • 日常生活の些細な行動も分析でき、より深い自己理解につながる

☑今後、どのように活用したいか(抜粋)

  • 自身の進路・N/S高在学中にできることの洗い出しに役立てたい
  • 進路先でも使いたい。強みを伸ばすことに使いたい
  • KPTと組み合わせて使いたい
  • 避難所運営シミュレーション教材と不登校支援に役立てたい

日々お忙しい生徒さんにとって、今後の糧になるような機会になったようでうれしい限りです!引き続き、リフレクションと対話を活用していってほしいですね。


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