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「ライフスキル教育とOS21の共通点は自己肯定感」ライフスキル教育を広める吉田さんインタビュー

吉田さん写真

21世紀学び研究所の理事であり、ライフスキル教育を広げる活動を行っている吉田さんにインタビューを行いました。

─最初に、現在力を入れているご自身の活動を教えて下さい。

現在は3つの事業を進めています。1つは社会人向け、2つ目が子ども向け、最後が学校向けの事業です。社会人向けというのは、企業研修というかたちで企業の人材育成のサポートを行っています。子ども教育に関しては咲心舎という学習塾で学力の向上とともに、社会で生き抜く力を育んでいます。学校向けは、そういった課程で得たプログラムを公教育に展開していくというものです。

 

私の活動の要はライフスキル教育です。このライフスキル教育の定義をお話しますと、「成熟社会でたくましく生き抜く力」です。これは4つの力から成り立っています。1つ目は「向き合う力」です。これは分かりやすいですが、目標設定力や、克己心など現実から目を背けずに進んでいく力です。2つ目は「考える力」で、構想力や表現力など、文部科学省が言っている思考力、表現力、判断力にも通ずるものです。次はコミュニケーション力、と言いたいところですが、これよりも大切に考えているのが「つながる力」です。感謝や貢献、礼儀などを通して人といかにつながるかという力です。この3つの力の中心に「自己肯定感」がきます。自分のことを大切に思う心ですね。この4つを成熟社会のライフスキルとして定義し、世の中に提供したいと思っています。

 

あくまで事業は手段ですので、ミッションとビジョンが大切です。成長社会から成熟社会に変わり不確実性や不安定さが増しました。こういった社会だからこそ私は、「自分の道を自分で拓ける「人」を創る」というミッションを掲げています。さらに、自分のやりたいことを増やす人を増やしていきたいと考えています。これが私のビジョンです。

 

─お話いただいた3つの事業を初めた理由を聞かせて下さい。

教育へ関心をもった理由は、親が塾経営をしていたことがきっかけです。その中で、特に印象的だった出来事があります。塾の中に学習障害を持った女の子がいた関係で授業が遅れ、他の生徒が辞めていったということがありました。私は「一人のためだけにどうして時間をかけるのだろう。」と納得がいきませんでしたが、親は「これが私の生き方だから」と言い、生徒が一人になっても塾経営を続けていました。この出来事を通して、教育とは何かと深く考え、子どもの教育に関わる尊さを感じました。

 

その後、高校生になりボランティアでバスケットを子どもに指導する機会がありました。このコーチ経験も今の自分を作るきっかけになっています。一生懸命プレイする目の前の子ども達を見て、指導者として感動し、涙したことがありました。その時、「人を教えて伸ばすことが僕は好きなんだな。」という感情と出会い、教育という選択肢が強くなりました。もちろん先生という道もありましたが、当時は「伝えたいものがないと教育は難しい」と思っていました。そこで、社会の最前線で活躍し、そこで見てきたものを伝えたいと考え、就職は教育業や、外資コンサルという道を選びました。

 

また、前職の組織コンサルで新入社員研修の講師を担当していたことも影響しています。新人社員と向き合う中で「このタイミングでは遅いかもしれない」という想いが降りてきたことがありました。彼らは可能性も伸びしろもあるとは思いましたが、変えにくいものもあると感じ、それが気がかりでした。人材育成は大好きでしたが、変えづらいものを変えようとすることに無力感を覚えたといいますか、力を入れても変えられない限界にかなり悩みました。この辺りから、子ども教育にシフトする考えが芽生え、事業展開を始めました。

 

社会構造が変化し、今までのスキルやスタンスが通用しなくなってきている中では、幸福度に着目し、精神的充足について考える力が必要だと思っています。成長社会では金銭面から発生する満足度は必要だったと思います。この時代のスキルは「早く正確に」が中心で、マイホーム購入や企業内での昇進など社会が目標を規定していました。しかし、この成長社会が完全に崩壊し、GDPも増えず、単純に稼げなくなりました。稼ぐためには、自分で答えを生み出し、他者とつながりながら、主体性、論理性、協調性を高めていかないと厳しい時代となったのです。また、自分の今に対しての満足と同時に、新しい未来を切り開くミッションを持つ必要が出てきました。しかし、これを社会でも学校でも体系的に提供している場所が少ないのが、ライフスキル教育を提供している理由です。その中でも公立校をターゲットにしています。エリート教育を受け、名のある大学に進学する人は全体の2割程度です。私は残り多くのミドル層がいる公立にこれらを届けたいと強く思いました。

─吉田さんの今までの活動で、一番の困難はどのようなものでしたか。また、それをどう乗り越えてきたか教えて下さい。

そうですね。まずは、創業時の「食うに困ったこと」ではないでしょうか。学習塾を作ったはいいものの、最初の半年は貯金を全部投げての生活でしたから。本当は子ども教育にフォーカスしたかったのですが、家族を守らないといけないので、今までの経験を活かして企業研修をしていました。

 

その後、業績的に落ち着いても、「早く目指すべき到達点に行きたいのに行けない」という葛藤はありました。一番の壁を感じていた所は「民間」と「公共」の違いでした。どうやって公共に導入させればよいか、全く別世界で道がないように感じていました。そのときに、トライセクター理論に出会いました。これはマッキンゼーの人から得た知識ですが、これからは民間、公共、市民の3つの問題にまたがるリーダーが求められるというものです。そこから、得たヒントでNPOという手段を使えば公共にも入りやすいと思えるようになりました。そこからNPOの設立を通して、学校との接点を持ち、今は学校の先生とライフスキル教育導入について話しを進めています。

 

─では未来のお話も伺って良いでしょうか。これからどんな未来を実現したいとお考えでしょうか。

一番は「意志ある大人」を増やしたいですね。そうすれば、幸福度がついてくると思っています。社会にでることが子どもにとって憧れになるといいですね。それを実現するために、公立校の3万校の子どもにライフスキル教育を提供することを目指しています。大人に向けては、OS21でライフスキル教育を導入できればいいと思っています。これに何年かかるかはまだ見えていません。しかし、ここからの3年間の展望は描けています。まずは1つの公立校と協力しながら成功事例をつくり広め、次は私が民間校長になり自分で普及させようと思っています。そして最後が先生の採用の改革に携わることですね。

 

─なぜ、吉田さんにとって「意志ある大人を増やす」ことが大切なのですか?

私が大切にしていることがいくつかあります。好きなことをしているとか、家族が幸せそうだとか、母が安心しているとかそういったものが基本になりますが、実は「人が立ち上がる瞬間」が一番好きです。

先ほどお話したバスケットコーチ時代を例にとっても、怪我をしている子が足を引きずりながらプレイする姿はとても心打たれました。塾でもまったく勉強してこなかった子のスイッチがどこからか入り、苦手な勉強に立ち向かっていく姿などが好きでした。身近な人が昇華していく姿勢がとても好きです。意志をもった時に人は立ち上がりますので、人の可能性を信じることができます。

 

─吉田さんが感じる今の日本の教育の課題を聞かせていただけますか?

仮説ですが、現状の公教育に対しては社会の変化に教育がついていけていないことではないでしょうか。物理的に日本の教員が忙しすぎるため、新しい時代に合った教育を新たに考えたくても、この現状ではやれません。これでは、先生方が自分自身のスキルを磨こうと思っても、マインドが追いつきません。先生の業務改革もお手伝いができればと思っています。

 

─企業のリーダーや親の教育に対してはどのようなことを思いますか。

企業教育はOS21のような教育を導入し、自分の生き方をきちんと定義し、ビジョンをもって進める環境づくりが大切だと思います。OS21の内容にも含まれていますが、フィードバックの時間を徹底的に増やしていくことや、リフレクションを促せるかがポイントです。

 

親に関しては、自身が輝いていることと同時に、無理せずありのままでいることが重要だと思っています。親が自分を大切にできているかどうかを、子どもはちゃんと見ています。子どもや家庭、会社など何役もこなす時に、すべてを完璧にしなくても良いと思っています。自己犠牲の上に、他者の幸せはありません。まずはあなたが幸せになって欲しいと思います。

 

─最後にOS21に共感してくださった理由を教えてください。

OS21の中身はもちろん、企業から始まるエコシステムというアプローチも共感しています。ライフスキル教育の軸となる自己肯定感はOS21の動機の源と同じです。「自分の内面」を認知して、軸を信じ、活かしていこうという根幹が一緒でした。今まで精神論っぽく聞こえることが多かったように感じますが、根源の追求はこれからの教育に非常に重要な部分です。公共育とはまた違った企業からのアプローチで、現実的に教育の在り方を変革できると思っています。

 

 

理事 吉田 宗興

株式会社ブルームウィル 代表取締役社長
/特定非営利活動法人 Life Skill For Students 代表理事/咲心舎 代表/
一般財団法人日本政策学校 オーガナイザー

外資コンサルティングのアクセンチュア社を経て、2001年草創期のリンクアンドモチベーション社にて人材育成事業に注力。トップセールス賞や最優秀マネージャー賞など数多くの社内賞を受賞し順調なキャリア形成の中、「社会人の力の既定感」や、リーマン・ショックで「成熟社会の訪れ」を感じ、“早期に”社会で生き抜く力を育む必要性を痛感。「子供教育」を自身の主軸に定める。

2009年株式会社トライグループ(家庭教師のトライ)に入社。300家庭以上を廻り子供教育の実情を把握する一方で、赤字部門の黒字化、新規事業の創出と拡大、組織体の改革を実現し、2年半で役員に就任する。

2013年「自分の道を自分で拓ける人を創る」を理念に、教育事業会社である株式会社ブルームウィルを設立し、代表取締役社長を務める。企業向け人材育成コンサルティングを行いながら、「学力と社会で生き抜く力」の習得を目指した学習塾咲心舎では、独自の「ライフスキルプログラム」を開発し、公立の小・中学生に展開している。

2016年NPO法人Life Skill For Studentsを設立し、公立小中30,000校に「ライフスキルプログラム」を導入するために活動している。

株式会社ブルームウィル

咲心舎(学習塾)

NPO法人Life Skill For Students

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