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「自己重要感を高め、自己理解と他者への共感をする」Humanext 浜本亜実さんインタビュー

浜本様写真

21世紀学び研究所の理事を務め、人材開発、組織デザインやオフィスの環境づくりを行う浜本亜実さんに、OS21に通ずるご自身のお考えやビジョンについてインタビューを行いました。

 

—現在力をいれていらっしゃるご自身の活動について教えてください。

3つ携わっている会社があるのですが、一番原点になっているのが12年前に立ち上げたHumanextという会社です。名前の通り次世代につなぐという意味を持っており、教育、仕組みづくり、顧客とのリレーション強化など、“関わる人全てを中心に据えた、個々の生きがいや幸せを叶える本質的な組織づくり”をテーマに、様々な組織を活性化するデザインを行っています。組織を活性化するにあたり、ソフト面のデザインだけではなく、オフィス環境等のハード面のデザインも重要だと考えるようになりました。そんな矢先、“はたらく人々を幸せに。”というフィロソフィとともに、組織の活性化やそこで働く人を笑顔にする、真に有意義で快適なオフィス環境を創造するデザイナーズオフィス事業を展開する株式会社ヴィスにジョインさせていただくことになりました。一人ひとりの個性を大切に、進化成長し続けるヴィスの企業文化から、多様性によって社会に価値創造していくことの素晴らしさを日々学んでいます。

 

3社目はインターネットサービスのプラットフォームで、それぞれの人が持つ知恵をシェアする、いわゆるライフハックを提供するサイトを作っています。人それぞれ持っている個性的な才能があって、当人は気づいていないことが多いと思います。自分にとっては当たり前であり特別ではない知恵や才能は、世界のどこかにいる誰かを幸せにするかもしれません。誰もが素晴らしい才能と知恵を持ち、それぞれ持っているものが違うからこそ、学ぶ喜びと楽しみがあります。多様性は、互いにインスピレーションを与え、何かを変えるきっかけになるかもしれません。当たり前の文化や知恵が、当たり前でない人に自然に受け入れられることで、世界中の人がちょっと豊かで幸せを感じる毎日を過ごせるように、私たちはそんな未来を目指し、人生を豊かにするHOW TO動画投稿サイトをつくりました。「SO EASY」というWebサイトで、現在22万人の読者がいるのですが、半数以上が海外の方です。日本の食や観光地などの情報も良いですが、日本の生活に染み付いている知恵や日本人だからこそ持っている価値観をシェアすることで、世界の人と繋がってほしいと考えています。

 

世界の人が自分の知恵をシェアするようになれば、例えば敵対している国の家の冷蔵庫を見るということも起こり得るし、そこで新しく文化を知ることができますよね。相手の価値観を含めて多様性の存在を認め、いいと思うものをシェアし合える世界になるのではないかと思います。災害のときにヒントになるものや、ちょっと笑ってしまうものなど、どんな知恵でも誰かの生活に役立つんです。仲間は目の前だけではなく、世界中のいたるところに存在しているというインターネット時代における人と人とのつながり方を再定義したいと考えています。

 

—お話いただいた活動を始めた理由を教えてください。

いろんな理由が複合していますが、一番は就職した企業で教育部署に配属された経験がきっかけとなっています。当時は自分に自信もなく、人の前に立つのが嫌いだったので、上司に異動願いを出すほど自分の仕事が嫌でした。ですがある時、私が登壇していた研修の受講者の男性が涙を流していたのを見てから、心境に変化が起きました。この方は親御さんとの関係が複雑で、自分に関心を寄せてくれる他者の存在が少なかったようです。研修内で、グループのメンバーからフィードバックをもらうという時間だったのですが、研修という短い時間の中で、周囲の人が自分に興味を持ち向き合ってくれたという事が感動だったそうです。その方の涙を見て、こういった場づくりをする自分が生半可な気持ちで関わってはいけないと強く感じました。たった1日の関わりではなく、参加者にとって大切な何かを大きく変えるかもしれないという思いを持って、必死に勉強し続けて、気付いたらここにいました。今、この瞬間に私が一生懸命に関わらなければという想いが、周囲からの目線や評価といった自分向きのベクトルを他者に提供する時間や想いのシェアといった方向に転換させたのだと思います。

 

—浜本さんが活動を進めるにあたり、どのような困難がありましたか。

自分が提供する教育の意味について向き合い、考えてしまうタイミングは常にあります。研修はその場では実感を得られますが、現場に戻って活かせるとは限らないという教育のジレンマは常にテーマとして考えていました。教育の分野は奥が深く、原体験も含め必要だと信じるからこそ続けてきたのですが、やればやるほど難しさとその奥深さに直面し、何度も自分には向いていないと諦めかけました。しかし、なぜか引き戻されてここにいます(笑)。幅広い人に接しなければならないので、年上の参加者の方に「お前に何がわかるんだ」と怒鳴られたこともありました。ですが教育を依頼された上で研修をしているので、私がどう思われるかではなく、一回一回、一人一人の経験を大切に、一生懸命取り組んできました。人の可能性と同じく、教育という分野には終わりがなく、壮大です。そのためどんな会社も課題をもっているのが人材なのだという事を考えると、人づくりを通して、お客様の問題を解決することが一番役に立てると感じています。お客様の抱える課題を解決したいという気持ちと、教育という分野への思考の深さと飽くなき追求心は無くさずにいたいですね。

 

浜本さん写真

 

—どんな未来を実現したいですか。浜本さんのビジョンを聞かせてください。

次世代につなぐということです。自分が生きた証として次世代にバトンを渡したいと思っています。それは大きな会社を作るとか事業を作るという事ではなく、身近に携わった人が出会いに感謝できたり、多様性によって繋がりを育めるようなそんな世界です。一人ひとりが持つ個性や才能を活かし補完し合いながら、のびのびと自由な創造をすることができる未来になってほしいと思うんです。そのために私個人としては、身近にいる人、関わった人とのコミュニケーションを通して、その出会いや繋がりに感謝してもらえるような活動をしていきたいと思っています。その人が持っていて、本人も気づいていないような素晴らしい個性や才能を発見し、良さを引き出してあげるという面で貢献したいと考えています。

 

—「次世代にバトンをつなぐ」ことを大切にされている浜本さんの価値観や信念を教えてください。

個人の個性を活かすことのほかに、「人を諦めない」という事は大切にしていきたいと思っている価値観です。社会では能力の一側面のみから判断してしまうということは多く、実際にその人が本当に活きる場面は見出されないままでいます。私は人が活躍できるステージは共通して一つというわけではなく様々な場所にあると思うんです。だから一定のものさしではなく様々な角度から人を見てあげたいという意味で、「諦めない」という言葉で日々意識しています。イソップ童話の「北風と太陽」に登場する太陽のような相手の立場にたったアプローチで、誰しもが良いものを持っていて、どのようにすればその人が活きるのか考えることは常に心がけたいと思っています。

 

—今の日本の教育や人材育成の課題はどのようなことだと思われますか。

教育という言葉の持つ「教える」「育てる」という受動的な言葉並びに違和感を持っています。同じことを一方向に伝えるスタイルに限界を迎えていて、それぞれが自分の意思で学びたいものを学んでいく時代へと変化していると思います。そこで個人が学びたいことの意思を尊重し、環境を整えてあげることが、学びを提供する側に必要とされてくることなのではないかと考え、私自身もそのテーマを掲げて活動しています。例えばある大手企業で高い年収を得ているプログラマーには、2歳からプログラミングをやっている人もいるそうです。彼にとってプログラミングは強いられたものではなく、自然と興味を持って続けている、環境の一つだったのだと思います。料理でもゲームでもどんなものでも、心から興味あるものを選べる環境をつくってあげるという考え方は、子供だけでなく大人である社員に当てはめても同じ事が言えると考えています。

 

この考え方は、4年間担当していた生きる基盤力講座という大学の講義でご一緒した少年刑務所の教官とのエピソードがきっかけになりました。実際に少年刑務所を案内していただいた際に服役した少年たちに会ったのですが、犯罪を犯したとは思えないほど瞳をキラキラ輝かせていたんです。話を聞くと、その教官が指導に当たったおかげで、彼らの人生は大きく変わったそうです。とても不思議で、どうやって更生させたのか聞いてみたところ、「更生させようと思ったことはないんだよ。」とさらりと仰られて。「彼らは本来は素晴らしい存在で、ちょっとボタンのかけ違いをしただけだからそれを一つひとつ一緒に戻しているだけなんですよ。」と話した教官の言葉を聞いて、人を信じるということはこういうことなのだと衝撃を受けました。それが少年たちに対する接し方ににじみ出るからこそ、少年たちにも変化を起こす力になる、それが教育の真髄なのだと思います。

 

—OS21に共感してくださった理由は何ですか。

人のマインドのベースを作るというプロセスにとても共感しています。人は自己重要感から始まり、自分は生きていて良いという自己理解を経て、他者理解に繋がるというプロセスが大切で、組織デザインにおける重要なベースであると考えています。この考えはOS21にも重なっていると思っていて、私が最も共感している要素のひとつです。多様性に関する理解は深いですがある意味シンプルなものだと思います。組織論を考慮する前提としてフィジカルやマインドを作り上げるお手伝いができればいいと思っています。OS21の主体的に学ぶ機会と環境を作るという考え方は、人生のやりがいを感じることのできる基礎になると思いますし、そんな人があふれる未来を作っていきたいと思います。

 

浜本 亜実

株式会社Humanext 代表取締役

シャネル株式会社で長年培った経験を活かし、外資系ブランドやリゾートホテルなどのPRを手掛ける。その後、森ビル株式会社に入社し、“六本木ヒルズ”の立ち上げに参画。
施設全体のサービス構築や働くスタッフ数千名の育成に携わる。
2005年、“次世代に大切なものをつないでゆきたい”という想いから、株式会社Humanextを設立。個人や組織、施設や地域などが本来持つ素晴らしい力を最大限に発揮するサポートをすることをモットーに人材開発・組織開発・サービスデザイン事業を展開。「人づくり」の観点から、企業のブランディングに取り組み、これまで1万名以上の育成と300社以上のコミュニケーションデザインに携わり、近年では、他社の社外取締役をはじめ、様々なベンチャー企業の支援に力を注いでいる。

株式会社Humanext

株式会社ヴィス

株式会社SO EASY